和太鼓が取り戻す「日本人の自信」
彼らには、草創期の創作太鼓グループが抱えた海外へのコンプレックスや日本美への過剰な思い入れ、指導者と演奏者の確執、葛藤は既にない。東京都世田谷区という歴史の浅い住宅地に拠点を置く東京打撃団は、その土着性の薄さ、それゆえの自由度の高さが武器と言い、ストリートファッションで舞台に立つ。(略)
「和太鼓ブームは日本人による根っこ探しだとよく言われたが、それはもうひと昔前の話。今はルーツ以上に太鼓そのものがもたらす『心の解放』の方に、魅力の重心は移っていると思う」と語るのは、ブームの渦中で過ごしてきた、東京打撃団の代表、平沼仁一だ。では和太鼓は、このブームをいかに次代につなげていけるだろうか。
「70年代のブーム当初から、和太鼓は地域振興、エコロジーという今日的なキーワードを伴ってきた。この先、音楽としてより深い精神性を獲得する事は大きな課題ですが、そのためにはこれらのキーワードと同化した、日本人ならではの表現が必要」と『たいころじい』発行人の中田徹は説く。(略) |
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